STORY

小さな会社の研究・開発物語

 
 

最初に少しだけ弊社の紹介をさせて下さい。

 
弊社は、大分県日田市を中心に消防設備の工事・点検・整備を行っている総勢4名の小さな会社です。そんな小さな会社が、「感知器の動作点検を一人でできないだろうか?」と研究を始めたのが2009年2月からですから、もう14年もこの研究を行っていたことになります。当然、研究室などなく開発は業務に支障のない夜間や土日を充て研究を続けてまいりました。
 
 

失敗の連続

 
当初、感知器発報時に起こる感知線回路の微妙な電圧変化をとらえ発報地区を検出する方法を試みましたが、現場での結線がとてもやっかいで断念しました。次に地区表示灯の点灯をとらえる方法を試みましたが、これまた受光部分の取付けに時間がかかりこれも断念しました。続いて行ったのが受信機面をスマホで撮影し、そのスマホ画像を解析し発報をとらえる方法も試みましたが、明るい部屋での判別が技術的にとても難しくこれまた断念。考えてみれば失敗の連続でした。
 
 

新型コロナの流行で

 
 そんな中、新たな研究のきっかけになったのが新型コロナの流行でした。火災受信機設置場所であるナースセンターや寮母室への入室が制限され、これにはほんとうに困りました。一時期感知器の動作点検が全くできなくなってしまったのです。このことが契機となり遠隔点検方式「スマホで発報」の研究を新たな気持ちで始めることになったのです。令和2年(2020年)5月のことでした。
 
幸いスマホでビデオ通話が手軽にできるようになったこと、通信料金の大幅な値下がりや大分県の補助事業の対象になったことが後押しとなり開発を加速することができました。
 
 

ついに完成した1号機

 
そして令和4年(2022年)12月試作1号機がやっと完成。うれしかったです。その後点検現場でのフィールドテストを行い、数々の使用上の問題も発生しましたが何とか解決。製品化に反対する妻や周りの人を説得し、令和6年(2024年)1月販売開始を行うことができました。これが小さな会社が行った決して皆様にお勧めできない研究開発物語です。
 
 

スマホで発報 でお役に立ちたい

 
この「スマホで発報」方法は、地元消防本部予防課様のご助言もいただきながら、消防設備士が消防設備士のために造った有効な点検方法です。「楽しく・楽な点検作業」にきっとお役に立てると思います。是非ご検討下さい。

 
 
大分県日田市 有限会社 加藤電工
加藤 初徳